ポケモン メロン 息子。 【ポケモン剣盾】メロンの手持ちとおすすめポケモン

【ランキング】ポケモン剣盾ジムリーダートップテン

ポケモン メロン 息子

粛然たる街のはずれで、朽ちかけた旧型のスタジアムが、草木にゆっくりと呑み込まれている。 土くれだった広いバトルコートの天井のガラスは砕けており、曇った太陽の光が薄暗く広がっていた。 過去、まだジムチャレンジスケジュールの調整が甘かった頃のジムリーダー達は、スタジアムで長い間籠り続けて待ち構えていないといけなかった時代があった。 この場所でポケモンバトルをしろ、来なければ命はないと脅迫の果たし状じみた連絡が、暫く行方知らずだった息子から届いたのは今朝のこと。 自然光だけが照らす暗がりが包む、スタジアムの奥に座って構える自分の息子が、酷くキョダイな見知らぬジムリーダーのように見えた。 既にジムリーダーは譲ったメロンにとって、それはまるで子供のころ、自分が初めてジムチャレンジに挑戦したときのような緊張感が走る。 だが、メロンは一度呼吸を整えると、時代錯誤なコートへとブーツの足跡を残した。 「久しぶりだね、マクワ。 あんたから会うって言ってくれたこと、母さん嬉しいよ。 けど、いつからあんたはこんなちっぽけな場所に立つ男になったんだい?」 身体の重心を右側に預けて、右腕で腰を抱く。 いつもの立ち姿で発破をかけた。 するとまるで今眠りから醒めたかのようなマクワがゆらりと立ち上がって、音もたてずにバトルコートに入る。 「……待って……いました。 さあ、すぐに終わらせましょう。 」 僅かにメロンの目元に皺が寄った。 「……ぼくはぼくの為にあなたを……今度こそ倒します。 あなたが大切にしてきた、氷ポケモンで。 」 そう、かつてメロンは自分の跡継ぎとして息子を教育していた時期があった。 氷タイプの名門ポケモンジム、キルクススタジアムを立派に継がせるという、長い夢を彼に託したかった。 けれど、いつしか彼の心は「岩タイプのポケモン」へと奪われていき、一度はジムリーダーすらまだ継がないと言い切られてしまったことがある。 それが原因で発生した大喧嘩はメロンに軍配が上がった。 だが長く後を引き、なかなかマクワは自分に顔を合わせることがなかった。 それはメロンにとって酷く寂しいものだったので、何か繋がりが欲しくて、とにかく応援したいと伝えたくて突飛な行動を起こしたりもしていた。 そうしてやっと目の前に現れた息子は、淀んだ眼の色をしていて、正気のようには見えない。 メロンは頭上のガラスが僅かに落ちた窓枠の影に目をやった。 あのあたりにこの仕組まれた再開劇の犯人がいるのだろう。 心理攻撃のつもりだろうか、馬鹿げている。 「へえ、けど一度岩であたしに負けたあんたが、あたしと同じタイプで敵うとは思わないけど?」 「……あなたは、あなたを超えられないような教え方をしたんですか?」 無感情に沈み切った瞳が、激情の熱を乗せてメロンを補足する。 「言うねえ。 正面切って自分の積年の夢と戦えるなんて、こんなに光栄な事はないんだけどね。 ……それで?人の息子を人質にして、負けたら何も無いって事はないだろ?一体何が欲しいんだい?」 メロンは「ここにいない誰か」に対して問いかける。 だが、応えたのは目の前のマクワだった。 「人質...... なんて。 もちろん逃げ出したり、負けたりすれば、お互い命はありませんが。 」 一瞬、重力がその重みを増して纏わりつき、ちりりと走る指先から身体の自由を奪った。 独特の紫の灯りが目の前をくらりと通り過ぎていくのがわかる。 これはポケモンの技に違いないが、その発生源は姿を現さなかった。 「ふん、本当にやり口が古臭くて汚いね。 」 「....... ぼくが本気で戦いたい。 ただそれだけです。 3対3で行きましょう。 」 マクワはいつものアクロバットさを潜めて、バトルコートの中央に向けてボールを投げる。 メロンもその返答として、ポケモンを出した。 「まずはコオリッポよ!あら、クレベース、久しぶりねえ!」 メロンの目の前に姿を現した巨大なクレベースは昔見た時と変わらない色艶をしていて、今でも大事にされていることが見て取れ、少し安堵した。 あれは、親子で初めて一緒に捕まえた氷ポケモンだ。 カチコールだったころから良く知っている。 軽く挨拶をすれば、クレベース本人が嬉し気な反応を返すのと対照に、マクワは非常に不快気な表情を見せる。 「そういうのやめてくれませんか。 」 「あら、嫉妬? コオリッポまずははらだいこ!」 「クレベース! てっぺき!」 コオリッポが先に自分の腹を強く叩いて自らを鼓舞すると、クレベースは攻撃を受ける体制を整え、お互いにらみ合う。 「そのまま、アイアンヘッド!」 「受け止めてボディプレスで返す!」 四角い雪の塊で出来た頭に光を集めて、鋼のような高度を持たせると、クレベースの巨大な体に頭から飛び込んでいく。 クレベースはびくりともせずに、壁のような身体で押し返した。 その反動でコオリッポの頭の雪が砕け散って、中から小さな顔が現れた。 「チャンスよ、コオリッポ、もろはのずつき!」 「ボディプレス!」 バランスの悪かった頭がなくなったコオリッポの動きが急激に早くなる、あっという間にクレベースの死角の後ろ側に回ると、下から動きを崩すように頭突きする。 クレベースの大きな体が勢いに飲まれて倒れた。 「そうそう、クレベースの防御の硬さ、良く分かってんじゃない!」 「……く! そうやって、あなたはぼくの優位に立とうとする!」 「そう?」 「そうですよ!ぼくは……ぼくはいつだってあなたの息子だ……!!」 「あら、でもそれを利用したでしょ?」 「それは……当たり前です!だって大勢の人に岩タイプの強さカッコよさを理解してもらう事が、ぼくの目標だから!クレベース!!雪なだれで押しつぶせ!」 「やるねえ、コオリッポ!もう一度もろはのずつき!」 起き上がったクレベースはすぐに大量の雪を呼び出し、コオリッポへと迫る。 鍛え上げられ、その迫力に気圧されない精神力を持つコオリッポは、雪雪崩を受け止めながら、一気に高速の頭突きを繰り出す。 翻弄されるクレベースの背中に刺さった。 「……ぐ、う……クレベース、もう一度、てっぺきを……!」 「コオリッポ、とどめだよ、アイアンヘッド!!」 苦し気に呻くマクワの様子に、ポケモンのダメージは直接本人にも届くのだろうか、とメロンは逡巡したが、指示を貫く。 クレベースが再度攻撃を受け流す準備を整える前に、コオリッポの素早い連続頭突きがその角ばった頭に当たる。 見事クリーンヒットした頭突きは高い耐久力を誇るクレベースから、その力を奪った。 その場で力を失うクレベースに、マクワは淡々とモンスターボールを向けた。 「クレベース、戻れ。 」 「はあ、相変わらずあんたのクレベースは堅いねえ。 」 「……硬さが、自慢ですから……うう……!!」 それを口にしたマクワの周囲にまた、あの紫焔の光が走る。 何かを思い出しかけたのか、それとも術が強くなったのかはメロンには到底検討が付かなかった。 ただ、目の前に苦しむ息子の姿があるだけだ。 「マクワ!?」 「うう……ぼ、ぼくは……倒さなきゃ、倒さなきゃ救われない……いけ、バイバニラ!」 呻きながらも次のポケモンを繰り出すマクワに、メロンはつい心配してしまうそぶりを腹に埋めて、挑発的な笑みを浮かべる。 多分、今もこの試合の様子は見られている。 今はまだ、少しでも犯人の思わない方向に状況が転べば、どうなるかわからない。 メロンは様子をうかがう時間が必要だった。 「バイバニラ!いいねえ、ちゃあんと元気そうじゃないか!」 バイバニラの登場とともに、急激に下がる室内。 どこからともなく突然霰が降り始めた。 ふよふよと浮かんだ二つの白い顔が、メロンに対して親し気に笑っている。 けれど、対照的に、持ち主の顔は更に険しさを増してメロンを睨みつけた。 そして何かを思い出すようなそぶりで苦々しく言葉を紡ぐ。 「ずっとぼくは……ニセモノだった……!嘘をついて……ぼくの中に、やりたいことの本当はとっくにあったのに、見ないフリをした!!ぼくは、無駄にした……間違えていたんだ……!!」 一つの体躯に、二つの個体が繋がるバイバニラが、やけに悲し気に見えた。 バイバニラは、両方に命があるが、片方が死んでも生きられるといわれている。 そうかい。 それは悪かった。 ……あんたが本当に言いたい事を我慢しがちな事わかってたのにね。 」 メロンのその反応は予想外だったのか、マクワは思いのほか狼狽しながら話す。 「あ、謝らないで下さい........ !!ぼく、ぼくは........ !!」 そして一瞬下唇を噛んでから、ポケモンに次の指示を出した。 メロンのコオリッポは降ってくる霰をめいっぱい受け止めて、顔を再び氷で固めた。 「ば、バイバニラ!ふぶき!」 「コオリッポ!つららばりで避けて!」 バイバニラが辺りに雪交じりの暴風を呼び起こす。 コオリッポは巨大な氷柱を何本も作り出すと、自分の目の前に壁を作り、豪雪の直撃から凌いだ。 だが、強い風に晒されて、随分と体力を消耗してるのがわかる。 「バイバニラ、フリーズドライ!」 「コオリッポ!」 バイバニラがさらに辺りの温度を下げ、身体の心底から冷やしていくのがわかる。 冷気に強い氷ポケモンではあるが、敵による強制的な体温調整には、流石に堪え切れず、コオリッポはうつぶせに横たわる。 メロンは悲し気に微笑みながら、ボールを突き出した。 「コオリッポごめんね、ありがとう。 次はヒヒダルマだよ!」 メロンは白い大きな頭が特徴の、猿型のポケモンを呼び出す。 「バイバニラ、一気に行きますよ!ふぶきです!」 「ヒヒダルマ、フレアドライブで避けて!……そんなに焦らなくたっていいじゃないか、せっかくの親子水入らずなんだから。 」 「……すぐに終わらせます。 」 再びバイバニラが圧倒的な雪風の壁を叩きつける。 ヒヒダルマは炎を上げて雪を溶かし、バイバニラへと距離を縮めた。 「バイバニラ、オーロラベール。 そこから破壊光線です。 」 「ヒヒダルマ、馬鹿力で崩しちゃって!」 バイバニラの周りを煌めく光が包むと、ヒヒダルマの両腕ががしりとその体を掴む。 ギリギリと締め上げられる白い雪の身体から、一直線に光が迸る。 まともに受けてしまったヒヒダルマは、身体を真っ黒に焦がして倒れた。 メロンはボールに戻す。 「ヒヒダルマ!……やるじゃないか。 」 「……ぼくたちは、ぼくは強いんです。 」 「それじゃあこいつでどうだい?モスノウ!」 メロンが呼び出したのは、大きな白い蛾のポケモン。 キルクスに住んでいれば、誰もが幼い時から身近に感じられる、その美しい姿。 「……モスノウ。 」 マクワはまるでオウム返しのようにぽつりとその名前を零した。 「覚えてるかい?あんたのモスノウが進化した時の事。 マクワ、本当に嬉しそうだったねえ。 ……あの時、なかなか進化しないってずっと悩んでたろ。 」 過去の自分を反芻するように、伏せた目でマクワは言った。 「……このままユキハミのままだったらどうしようって思っていました。 」 「……本当はあの時、ユキハミや自分のことじゃなくて、あたしのことを考えていたんだろう?」 務めて明るく言う。 メロンも、向き合う事に恐怖を抱かないわけではないのだ。 「……そう、ぼくはあなたが怖くてしょうがなかった……。 だから早く進化させなくてはいけないと焦っていた……。 」 「あたしは本当にコーチとして優秀だったと思うし、誇りに思っている。 」 メロンは、顔を上げた。 その表情はどこか頼りなくて、弱弱しくて、豪快なメロンらしからぬ、マクワが初めて見るものだった。 「だけど、マクワ、あんたをちゃんと見る事に関しては今も昔も、下手くそだな……。 あたしは、あんたにちゃんと信じさせてあげる事を教えられていなかったんだね……。 」 にらみ合うバイバニラとモスノウが、トレーナーの次の指示を待っていた。 見かねたのか、ばちばち、と二人の間に紫の光が走る。 マクワは先に我に返った。 「バトル中です……!バイバニラ!ふぶき!」 「モスノウ、れいとうビームで相殺!ちょうのまい!」 さんざめく雪風に冷たい冷気で出来た光をぶつけて、その力を弱めると、モスノウは優雅に体を動かして調子を整える。 連続で技を出し続けて疲弊し始めたバイバニラの隙を縫うような身軽さでひらひらと空を飛んでいる。 「いいねえモスノウ!むしのさざめき!」 「オーロラベール!」 「させないよ!」 モスノウは一気にバイバニラとの距離を縮めると、オーラを生み出す前に至近距離で虫の声を轟かせた。 思わずトレーナー二人が耳を塞ぐ程のその威力に、マクワは慌ててバイバニラの様子をうかがう。 ふわふわと浮かんでいた身体は静かに冷たい床の上に降りていた。 「ば、バイバニラ。 ……モスノウ!」 そしてマクワが次に呼んだのは、同じモスノウだ。 だが、メロンのものに比べて暖かい色をしていた。 先ほど自分が話題になっていたのを知っていたか知らずか、優し気に羽ばたいている。 「ああ、本当にきれいなモスノウ。 」 あれはマクワがトレーナーとして修業を開始する10歳の誕生日、メロンがそれまでになんとか間に合わせようと一生懸命探しだして、プレゼントしたポケモンだった。 いつかモスノウと共に並ぶ息子の姿を心に描いて。 「あたしは今でもあんたがジムのスタジアムで見られないのが、正直悔しくてもったいなくて仕方ないよ……。 」 「そ、そんなの……。 」 マクワが肩を震わす。 「それなら別に……ぼくじゃなくてもいいって思った!!そうだろ?! モスノウ!ちょうのまい!」 主の激情をその両羽に受けた色違いのモスノウは、曇天の光を浴びて風光明媚に空中を踊る。 メロンはそれを見ると、泣きそうな顔で微笑んだ。 「……あの修行していた頃……ずっと苦しかった。 だって他に使ってみたいポケモンがいたんだ……。 このままじゃ、ぼくは、息の仕方が分からなくなるって……。 ぼくも……ぼくだって……優しくなりたかった……。 だけど本当のことなんて言えない、行動もできない、情けなくて弱虫で、そんなぼくなんて、いつか……殺してしまいたかった……。 」 「マクワ....。 」 メロンが見たその息子の目は、先ほどのような淀みがなく、美しい瑠璃の色を取り戻していた。 ただ、泣きそうに歪んで、目の端がきらきらと光る。 あの大喧嘩の時、あまりに周囲を巻き込みすぎてしまい、その規模の大きさからお互いに話し合う事が出来なかった。 その付けが、今、ここに回ってきていたのだろう。 今になってメロンの胸に少しばかりの後悔が宿る。 「……だからぼくは、やっとぼくを殺すことにした。 母さん、ぼくは..... ぼくのために、母さんの期待を裏切る。 それは……母さんがずっとずっと努力してきた全てを壊してしまう....... ?? ぼくは親不孝だ.......。 だけど……。 」 「違うよ。 」 はっきりとした否定に、マクワは思わず聞き返した。 「え?」 「確かにあんたが氷使ってくれなくなるのは寂しいよ。 悔しいよ。 けど、その先に見つけてくれた事があるなら、それはあんたにとっても、そしてあたしにとっても新しい財産だよ。 ……だからこそあたしは、今でもあんたのファンクラブ会員じゃない?..... ああでも、マクワ、そんなこと....... ぁぐ……っ!?」 目の前を迸る紫色の光が身体へかかる本当の負荷を強く呼び起こした。 時間はあまりないのは向こうも同じことだろう。 ならばと、メロンは腹をくくった。 ここまで来て全く目的が読めないという事は、多分、こうして自分たちを互いに弱らせるのが敵の目論見なのだ。 「……全く、余計な茶々を入れるのはやめてもらいたいね。 モスノウ!ちょうの舞で一気に間を詰めて、れいとうビーム!」 「避けろ、エアスラッシュ!」 踊るようなスピードからの、圧縮冷気を、マクワのモスノウが真空の力で跳ね返す。 「一気に、虫のさざめき!」 「連続でエアスラッシュ!」 音波と真空波が空中でぶつかり合い、爆発を起こした。 巻き起こる土煙が視界を奪う。 だが、それに気を取られている余裕はない。 すぐさま指示が飛んでくる。 「ふぶきで吹き飛ばしてください!」 「同じく、ふぶき!」 更に怒涛の勢いで雪風が正面から叩き合い、吹雪の渦が暴れて、お互いのモスノウは壁に吹き飛ばされて落ちた。 両者とも身動きが取れないまま倒れている。 それを引き分けだと見なしたのか、ばちばちと光る紫の力に、大気の重みが増して、マクワもメロンも気道を奪われかける。 「……ぐ、……っ……!!」 「...... あ、相打ちなんて……そんな……。 これを見越して……ぐ、ああ..... !!!」 メロンはなんとか立ち上がってモスノウを戻し、頭を押さえて苦しむ息子に向かって発破をかけた。 「ほら!まだやれるでしょマクワ。 しっかりしないと、あたしに倒されるよ?」 「あ、……れ.... 母さん..... ?!な、なんで、ぼくたち、戦って……う……。 」 見れば、取り巻いていた紫が消え、マクワの顔色が赤みを取り戻している。 さっきよりもはっきりした視線でメロンを見た。 思わずメロンは笑みを深めた。 どうやら一つ問題は解決したらしい。 だが、油断はできなかった。 「マクワ!さあ、ここからが本番でしょ?あたしはあんたと戦いたいの。 さっさと「あんたの選んだポケモン」をだしなさい。 」 ふるふると頭を振って、現状を整えている様子のマクワは、メロンが思っているよりも把握している様子で答える。 い、いや戦う必要なんてないんですよ?母さん。 それより、あそこにまだ隠れてるカラマネロを先に……。 」 視界の隅で、少し困った様子の触手が揺れている。 これで束縛は解消されて、晴れて自由の身だったのかもしれない。 けれどまだその確信はない。 ならば、延長戦を仕掛けて時間を稼ごう。 それがメロンの策略だった。 だが、それと同時に、仕組まれた戦いで温まったポケモントレーナーとしての、母親としての血が冷気の中で、ぐつぐつとマグマのように煮えたぎってしかたがなかった。 今こそ、今度こそ、戦いたい。 自由になった今、もう一度全てを賭けて。 「あのね、あたしにはまだあるんだよ! あんたがこんなに弱いわけないだろ? あたしがあんたなんかよりも何千倍も強い氷の姿を見せてあげる。 ほら、もっと本気をみせて!」 「……母さんには敵わない、か.......。...... いや、これは、母さんを越えるための再試練でもあったのかもしれません。 」 そう言って、マクワはいつもかけているサングラスを上着から取り出し、鼻の上にかける。 それから軽くその場で宙返りをして見せると、相棒を呼び出した。 「セキタンザン!」 母は、その息子の様子に心底からエネルギーが迸る瞬間を感じた。 「魅せたい」相手は、今この廃屋に、たった一人しかいないのだ。 「来たね!遠慮なくいくよ、ラプラス!れいとうビーム!」 「セキタンザン、岩石封じです!」 氷がはじけ飛び、岩が空中を踊る。 炎が巡り、水が歌う。 お互いがお互いをよく知る技の応酬、掛け声と指示のタイミング。 心理の読み合い攻防戦。 母としてでも、息子としてでもなく。 背負うものは何もない、ただ二人のトレーナーの小さなエキシビジョンマッチは、長い長い夜を二人踊り明かすように、果てしなく続いていた。 [newpage] 「さすがメロンさんのラプラス。 くろいまなざしを使ったタイミング、全然見えなかったなあ……。 」 「私たち、今さっき到着したばかりですが来る前から使っていたんですかねー?メロンさん!もう大丈夫ですよ!……メロンさん?」 「だめですね、バトルに夢中で全然こっちに気づいてません。 」 「あんな楽しそうなメロンさん、久しぶりに見ました、ああよかった。 」 「少しはジムのトレーニングも楽になるかな?」 「……それとこれとは別じゃないですかね。 」 「それにしても犯人近くにいてよかったなあ。 」 「とりあえずこの人とカラマネロはお巡りさんのところへ、連れていきますね。 」 [newpage] <設定memo> ・ガラルで悪事を働きたい悪い人たちが邪魔になりそうなジムリをまず仲間に引き入れるなどして無力化したい ・岩使わすより本人慣れてる氷のが強いし意表つけるのでは メママも油断したり喜ぶんじゃ?という悪い意思 ・実はジムリなった直後から怪しい人たちに、新人だからという事で目を付けられ声をかけられていたマクワさん もちろん断固として拒否し続けてきたのだけれど痺れを切らした怪しい人たちが強硬手段を使って味方にしてきた! そういう話だってあたしにしてくれれば、こんなことにはさせなかったのに、と寂しい引退済みのメロンママ 洗脳内容 「皆氷を使っていた頃のあなたの方がよかったと言っていますよ。 」 「あなたのお母さんも、許してはいないでしょう?」 「あなたが氷を使わなかったら、誰が使うんですか? ほかの家族に押し付けるつもりですか?」 「憎い母親がくれた力で、母親を倒してしまいたいと思いませんか?本当の自由がありますよ」 「氷で母を越える事は、母も喜ぶはずです。 敵さんがちゃんとお仕事してる。 そこまでは全く同じなので途中から始まります。 [newpage] バイバニラがさらに辺りの温度を下げ、身体の心底から冷やしていくのがわかる。 冷気に強い氷ポケモンではあるが、敵による強制的な体温調整には、流石に堪えられなかったようで、コオリッポはうつぶせに横たわる。 メロンは悲し気に微笑みながら、ボールを突き出した。 「コオリッポごめんね、ありがとう。 次はヒヒダルマだよ!」 メロンは白い大きな頭が特徴の、猿型のポケモンを呼び出す。 「バイバニラ、一気に行きますよ!ふぶきです!」 「ヒヒダルマ、フレアドライブで避けて!……そんなに焦らなくたっていいじゃないか、せっかくの親子水入らずなんだから。 」 「……すぐに終わらせます。 」 再びバイバニラが圧倒的な雪風の壁を叩きつける。 ヒヒダルマは炎を上げて雪を溶かし、バイバニラへと距離を縮めた。 「バイバニラ、オーロラベール。 そこから破壊光線です。 」 「ヒヒダルマ、馬鹿力で崩しちゃって!」 バイバニラの周りを煌めく光が包むと、ヒヒダルマの両腕ががしりとその体を掴む。 ギリギリと締め上げられる白い雪の身体から、一直線に光が迸る。 まともに受けてしまったヒヒダルマは、身体を真っ黒に焦がして倒れた。 途端に紫に痺れる頭を抱えながら、メロンは慌ててボールに戻す。 すると痛みは治まった。 近くで様子を見ながら攻撃を仕掛けているのだろうか。 「ぐ……、ヒヒダルマ!……やるじゃないか。 」 「……ぼくたちは、ぼくは強いんです。 」 「それじゃあこいつでどうだい?モスノウ!」 メロンが呼び出したのは、大きな白い蛾のポケモン。 キルクスに住んでいれば、誰もが幼い時から身近に感じられる、その美しい姿。 「……モスノウ。 」 マクワはまるでオウム返しのようにぽつりとその名前を零した。 「覚えてるかい?あんたのモスノウが進化した時の事。 マクワ、本当に嬉しそうだったねえ。 ……あの時、なかなか進化しないってずっと悩んでたろ。 」 過去の自分を反芻するように、伏せた目でマクワは言った。 「……このままユキハミのままだったらどうしようって思っていました。 」 「……本当はあの時、ユキハミや自分のことじゃなくて、あたしのことを考えていたんだろう?」 務めて明るく言う。 メロンも、向き合う事に恐怖を抱かないわけではないのだ。 「……そう、ぼくはあなたが怖くてしょうがなかった……。 だから早く進化させなくてはいけないと焦っていた……。 」 「あたしは本当にコーチとして優秀だったと思うし、誇りに思っている。 」 メロンは、顔を上げた。 その表情はどこか頼りなくて、弱弱しくて、豪快なメロンらしからぬ、マクワが初めて見るものだった。 「だけど、マクワ、あんたをちゃんと見る事に関しては今も昔も、下手くそだな……。 あたしは、あんたにちゃんと信じさせてあげる事を教えられていなかったんだね……。 」 にらみ合うバイバニラとモスノウが、トレーナーの次の指示を待っていた。 見かねたのか、ばちばち、と二人の間に紫の光が走る。 マクワは我に返った。 「バトル中です……!バイバニラ!ふぶき!」 「モスノウ、れいとうビームで相殺!ちょうのまい!」 さんざめく雪風に冷たい冷気で出来た光をぶつけて、その力を弱めると、モスノウは優雅に体を動かして調子を整える。 連続で技を出し続けて疲弊し始めたバイバニラの隙を縫うような身軽さでひらひらと空を飛んでいる。 「いいねえモスノウ!むしのさざめき!」 「オーロラベール!」 「させないよ!」 モスノウは一気にバイバニラとの距離を縮めると、オーラを生み出す前に至近距離で虫の声を轟かせた。 思わずトレーナー二人が耳を塞ぐ程のその威力に、マクワは慌ててバイバニラの様子をうかがう。 ふわふわと浮かんでいた身体は静かに冷たい床の上に降りていた。 「ば、バイバニラ。 ……モスノウ!」 そしてマクワが次に呼んだのは、同じモスノウだ。 だが、メロンのものに比べて暖かい色をしていた。 先ほど自分が話題になっていたのを知っていたか知らずか、優し気に羽ばたいている。 「ああ、本当にきれいなモスノウ。 」 あれはマクワがトレーナーとして修業を開始する10歳の誕生日、メロンがそれまでになんとか間に合わせようと一生懸命探しだして、プレゼントしたポケモンだった。 いつかモスノウと共に並ぶ息子の姿を心に描いて。 「あたしは今でもあんたがジムのスタジアムで見られないのが、正直悔しくてもったいなくて仕方ないよ……。 」 「そ、そんなの……。 」 マクワが肩を震わす。 「それなら別に……ぼくじゃなくてもいいって思った!!そうだろ?! モスノウ!ちょうのまい!」 主の激情をその両羽に受けた色違いのモスノウは、曇天の光を浴びて風光明媚に空中を踊る。 メロンはそれを見ると、泣きそうな顔で微笑んだ。 「……あの修行していた頃……ずっと苦しかった。 だって他に使ってみたいポケモンがいたんだ……。 このままじゃ、ぼくは、息の仕方が分からなくなるって……。 ぼくも……ぼくだって……優しくなりたかった……。 う、ぐ……。 」 纏わり付くパープルがバチバチと弾けてマクワの束縛を強めた。 急げとの有り難い御通達だ。 だが、マクワは構わず続けて行く。 「だけど本当のことなんて……い、言えない、行動もできない、情けなくて弱虫で、......... そんなぼくなんて。 」 メロンが見たその息子の目は、先ほどのような淀みがなく、美しい瑠璃の色を取り戻していた。 ただ、泣きそうに歪んで、目の端がきらきらと光る。 あの大喧嘩の時、あまりに周囲を巻き込みすぎてしまい、その規模の大きさからお互いに話し合う事が出来なかった。 その付けが、今、ここに回ってきていたのだろう。 だが、この状況を長引かせては悪戯に傷つけられ、最悪命が奪われる。 危険を予感しメロンは啖呵を切る。 「さっきに比べて随分と余裕だね!?あんたの前にいるのは誰!?モスノウ、一気に決めなさい!ふぶき!」 「高く上がって暴風を!」 極寒の冷気を纏った風の応酬。 低い気温がまた更に下がり、トレーナーお互いの体力と判断力すら奪っていく。 故に氷タイプの扱いは難しい。 既に余計な邪魔で気力を奪われているというのに。 それでもメロンの前の息子は、まだ何かを伝えようと口を割っては痛む頭を抱えていた。 「……母さん、ぼくは……う、……ぼくのために、母さんの期待を裏切る。 それは……母さんがずっとずっと努力してきた.......... 全てを壊してしまう.......。 」 「違うよ。 」 はっきりとした否定に、マクワは思わず聞き返した。 「え?」 「確かにあんたが氷使ってくれなくなるのは寂しい。 けど、その先に見つけてくれた事があるなら、それはあんたにとっても、そしてあたしにとっても新しい財産だよ。 …………ぁぐ……っ!?」 「.......... !!」 目の前を迸る紫色の光が身体へかかる負荷を強く呼び起こした。 時間があまりないのは向こうも同じことだろう。 ならばと、メロンは腹をくくった。 「……全く、余計な茶々を入れるのはやめてもらいたいね。 モスノウ!ちょうの舞で一気に間を詰めて、れいとうビーム」 「……ぅぐ、避けろ、エアスラッシュ!」 踊るようなスピードからの、圧縮冷気を、マクワのモスノウが真空の力で跳ね返す。 周囲にキラキラと氷の粉が舞った。 どちらにも羽ばたきのスピードがゆっくりと落ちていて、疲労の色が見え隠れしている。 「もう少しだよ、つららばり!」 場内に積もりゆく氷を、マクワが睨んだ。 これは、母親の好む、常とう手段。 「させません、範囲を広げてオーロラビーム!」 マクワのモスノウが壁や二階の手すりに刺さる氷に向かって、虹色の光線を放つと、全てが砕ける。 すると周囲に氷の小さな礫が降り注いだ。 「掛かったね、モスノウ!連続でつららばり!」 モスノウが吸う息の中で生まれる氷柱と、空中の礫が一つになり、その巨大さを増す。 母親は封じ手のはずの今の状況すら、逆手に取ってみせた。 だが、その空中に浮かぶ氷の力を扱うためには、普段よりも氷を生み出す時間がかかるはず。 マクワは、この手段しかないと判断した。 「追い風で一気に距離を詰めて、至近距離からのふぶきです!」 燃えるような赤い羽根の色が風を受けてはためく。 氷柱を作らんと空中に浮かぶモスノウの懐に入り込むと、追い風の勢いで増した吹雪の風が、メロンのモスノウに直撃した。 モスノウが倒れ、地面に落ちる前にモンスターボールの光がその美しい体躯を抱きしめた。 「よく頑張ってくれたよ。 ごめんな、モスノウ。 」 「……ま……さか……。 」 勝者であるはずのマクワの顔が酷く険しい。 それでもまだ目の色はいつもの瑠璃色で、メロンの心は酷く穏やかだった。 だが、その瞬間周りに走っていた紫色がばちばちと身体に巡り、思わず膝をついてうめき声をあげる。 「ぐ……う、……ああ……!!……っ、や……るじゃないか、マクワ。 」 それを見たマクワは、メロンの元へと駆け寄る。 「あ、あああ……!!う、うう……!!か、母さん、そんな、ウソだろ……!?今の、全部、解ってたんだな……!?ぼくは、そんな……、そんな形で勝ちたかったわけじゃ……!!」 メロンはあえて至近距離でふぶきを使わせる為に、空中の氷を利用しようとしていたのだ。 マクワは試合にこそ勝ったが、その試合の流れは全て、メロンの手の内だった。 「バカ、……あたしとちゃんと、……喧嘩したかったら……今度は正々堂々と向かってくるんだね。 」 母親は僅かに笑いかける。 そして手の中に納まるモンスターボールに小さく声を掛けた。 頭痛がどんどん酷い。 目の前も暗くなっていく。 「けど……我儘な……母親でごめんな、モスノウ。 」 そして、もう一度息子を見上げる。 「……あたしはやっぱり、優秀なトレーナーかも、しれないけど……、母親としては、とんでもなく不器用だったね。 ……だけど、これからもずっとそう。 ……だって……あたしはあんたの母さんで、あんたの……ことが大好きだからね……。 」 そうして薄れゆく意識の中、最後に見たメロンの景色は、自分に縋って泣き崩れる息子の姿だった。 [newpage] 「お疲れ様です。 よく働いてくださいましたね。 ああ言いましたが、大丈夫です、安心してください。 まさか大事なお母さまを手にかけるなんてことはございません。 こちらとしても今後の戦力になり得ますしね。 ただ……こちらでお預かりいたしますので、これからもご協力よろしくお願いいたしますね、マクワさん。

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【ポケモン剣盾】こおりタイプのジムリーダー・メロンのプロフィール【ポケットモンスター(ポケモン)】

ポケモン メロン 息子

15,547• 3,706• 7,445• 2,014• 216• 1,631• 497• 597• 169• 115• 11,266• 102• 1,475• 1,567• 540• 274• 371• 544• 130• 272• 358• 196• 293• 226• 329• 446• 213• 125• 426• 236• 116• 139• 2,181• 768• 398• 114• 258• 176• 151• 129•

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【ポケモン剣盾】こおりタイプのジムリーダー・メロンのプロフィール【ポケットモンスター(ポケモン)】

ポケモン メロン 息子

前のジム攻略 6番目のジム攻略 次のジム攻略 ソード限定 シールド限定 ジムミッションの攻略 慎重に探知マシンの反応を見よう ジム内には見えない落とし穴が設置されている。 落とし穴が近いと探知マシンが反応するので、それを頼りに回避しよう。 急がずゆっくりと進めば安全だ。 一度落ちると目印になる 落とし穴は、落ちると穴として残る。 一度でも落ちればもう引っかかる心配はないので、場所は覚えなくて良い。 落とし穴を避ける正解ルート 1層目 1-1 1-2 2層目 2-1 2-2 3層目 3-1 3-2 3-3 3-4 最終エリアも冷静に 最終エリアは濃霧が立ち込めていて、視界がほとんど塞がれる。 しかし探知マシンはこれまで通り反応するので、冷静に進もう。 トレーナーはこおりタイプ ポケモン おすすめポイント 【入手方法】 ガラルニャースがレベル28で進化 ガラルニャースは4番道路に出現 【ポイント】 タイプ有利とアイアンヘッドで楽に立ち回れる。 ほのおタイプになるガラルヒヒダルマには注意。 ラプラスはみずタイプ複合なので、引っ込めよう。 【入手方法】 ココガラの最終進化 38 ココガラは1番道路に出現 【ポイント】 はがねのつばさで弱点を突ける。 受けるこおり技は等倍な点に注意。 【入手方法】 モグリューがLv31で進化 モグリューはガラル鉱山に出現 【ポイント】 有利な攻撃を豊富に持つ。 ラプラスはみずタイプ複合なので注意。 【入手方法】 ラクライがレベル26で進化 ラクライは4番道路に出現 【ポイント】 ラプラス対策にいると安心。 特殊アタッカーなので、コオリッポにも対応できる。 アタッカーとして出すポケモンは、可能な限り高レベルにしておこう。 このレベルを下回ると、攻守の両方で苦戦を強いられる。 なんでもなおしもあると安心 メロンはこおり技を多用するため、常に凍らされる危険がある。 自然に治るのを待つ余裕はないので、なんでもなおしやこおりなおしを用意しておこう。 1匹での突破は考えないこと メロンのポケモンは、特性やタイプのクセが強い。 こおりタイプ主体だからといって、 ほのおタイプ1匹で挑んだりすると痛い目に遭う。 繰り出してくるポケモンごとに、対策用のポケモンを用意しよう。 対策が必要なポケモン.

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